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2024-02-14

「もっともっと暗い日々」(2)

イスラエルのガザ攻撃についての続きです。

コミュニケーション・システムを破壊し、ジャーナリストを標的にするイスラエル軍

 イスラエルのガザ攻撃の犠牲者が市民、特に女性と子どもが中心であることは知られるようになりましたが、もう1グループのパレスチナ人がイスラエル軍の標的であることは、あまり知られていません。「ジャーナリスト保護委員会」(Committee to Protect Journalists, CPJ)によると、イスラエルのガザ攻撃開始から約1ヶ月半の時点で少なくとも50人のジャーナリストとメディア関係者が殺され、そのうち45人はパレスチナ人だったそうです(注1)。その数は2024年1月17日には110人以上になり、ジャーナリストの死者数としては、1国で1年間に殺される数より多いと指摘されています(注2)

 イスラエルがパレスチナ人ジャーナリストを標的にし、ガザで電気や通信網を遮断しているのも、「イスラエル政府が西洋の宣伝戦に勝つためにガザからの『救命情報』(lifesaving information)を抑え、『基本的メディア報道』を阻止している」(注1)ためと批判されています。イスラエル軍がジャーナリストを標的にしているという証拠は、ベイルートのテレビ局のリポーターとカメラマンが「イスラエル軍による南レバノン爆撃を報道した後、イスラエル軍機が意図的に2人に焦点を当てた」ことです。イスラエル軍に狙われていることを知っているパレスチナのジャーナリストたちは命懸けで実情を世界に発信しようとしています。その1人について、Democracy Now!のエイミー・グッドマン(Amy Goodman: 1957-)は「ガザ北部で27歳のデジタル・プレゼンターが家族と共にイスラエルの空爆で殺されました。これは彼女の最後のレポートです」と述べています。

 日本のメディアが頼っている欧米メディアの情報について、以下のように解説しています。

 アメリカのジャーナリストは皆イスラエルから報道し、ガザにいるアメリカのジャーナリストはいない。行ける者もイスラエル軍に従って行き、事前にヴィデオを検閲される。

 パレスチナで前線にいるのはパレスチナ人のフリーランス・ジャーナリストとカメラマンだ。その結果、リスクは最悪で、その代償は高い。この犠牲に加え、停電による検閲が大きい。ガザでも世界でも情報が遮断され、ガザの200万人の市民が食糧、水、シェルターに苦しんでいる人々に必要な情報も、ガザで何が起きているかの情報も[イスラエルによって]否定されている。

 イスラエル軍がジャーナリストとメディア機関を不当な致死的武器で攻撃したことは国際法から免れられない。我々はイスラエルの同盟国、アメリカ政府、ヨーロッパの同盟国に、これらを問題にするよう呼びかけている。イスラエル政府は国際法によって、ジャーナリストと市民を守る義務がある。またジャーナリストが戦時下で正確で独立した情報をタイムリーに提供できるようにすることが守られている。そして、イスラエル政府がジャーナリスト殺害を正当化するために間違った情報を流さないよう願う。

 2023年10月にアルジャジーラの地域局長の家族4人がシェルターに避難していて爆撃されました。長男のジャーナリストは2024年1月第2週目の空爆で別のジャーナリストと共に殺されました。

 アルジャジーラのジャーナリストをドローンで狙って殺した事件は過去4週間に少なくとも2回起こっています。イスラエル軍は初めて攻撃の責任を認めましたが、調査すると言いながら、ジャーナリストがテロリストだと根拠のない虚偽を言っています。殺されたジャーナリストはイスラエル軍の許可を得てガザに入ったのだから、もし仮に彼が指名手配されていたのだったら、殺される前に入国許可を入手しないでしょう。[イスラエルは]「テロリスト」という語を使って、世界が飽きるまで虚偽の話を続けるのです。(注2)

南アフリカが国際司法裁判所にイスラエルに対する「ジェノサイド」提訴

 「イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区でジェノサイド(集団虐殺)を犯していると、南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)に訴えた裁判の審理が[2024年1月]11日」(注3)に始まりました。なぜ南アフリカが提訴したのかについて、アメリカの憲法権利センターの法律家が解説しています。「南アフリカの人々が75年間アパルトヘイトと戦ってきたから、国際社会に見捨てられるのがどんなものかよく知っているので、パレスチナの人々に対して行われているジェノサイドを阻止する道徳的・法的義務があるとこの法廷に来たのです」(注4)

 南アはイスラエルがガザ地区の「破壊」を計画し、立案は「国家の最高レベル」だと述べましたが、その主張に「根拠がない」とイスラエル側が主張しています。国際刑事裁判所と違って、国際司法裁判所には強制力がない上、イスラエルはICJを無視する用意があると報道されています(注5)。この裁判で、ドイツ政府は南アの主張を強く否定し、イスラエルがガザで行っていることは「自衛しているに過ぎない」と主張しています(注6)

 イスラエルのネタニヤフ首相はICJも、ガザ停戦を求める中東も、イスラエルのガザでの戦闘を止めることはできないと戦闘続行を1月13日の記者会見で述べました(注7)

国際司法裁判所の暫定措置命令

 2024年1月26日に国際司法裁判所は暫定措置命令を出しましたが、停戦命令は出しませんでした。それでも今回の命令は画期的だと評価されています。ヒューマンライツ・ナウが重要だとする点を引用します。

ジェノサイドに該当する諸行為に対する措置をイスラエルに命じたこと:(a)集団構成員を殺すこと、(b)集団構成員に対して重大な肉体的又は精神的な危害を加えること、(c)全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること、(d)集団内における出生を防止することを意図する措置を課すること、ジェノサイドの扇動の防止と処罰を求めたこと。(注8)

 最後の点はネタニヤフ首相を示唆する「リーダー」という語で、「イスラエルのリーダー、防衛大臣など政府高官がジェノサイドを煽動することを防ぎ、した場合は起訴すること」とされています。この措置命令について、イスラエルの歴史家でニュージャージー州のストックトン大学(Stockton University)のホロコーストとジェノサイド研究の助教授ラズ・シーガル(Raz Segal)が以下のように評価しています。

 裁判所が[ジェノサイドの]意図を示す声明を引用したのは非常に重要だ。2023年10月7日以降の2,3週間だけでなく、現在に至るまで、特にネタニヤフ首相が1月13日に戦争を止めるつもりはないと言ったこと、パレスチナ人を「人間の姿をした獣(human animal)」とか「怪物」(monster)とか表現するのは、ジェノサイドを示す言葉だ。

イスラエルが「避難命令」を出してパレスチナ人を避難させたというのもジェノサイドだ。イスラエル軍が安全だという所にパレスチナ人を避難させ、逃げる途中で、安全だと言った所で爆撃して殺し、飢餓を作り出し、感染症を生み出し、水も薬も持たない人々を生み出した。イスラエルはガザの病院を爆撃し、大学を爆撃し、農地を破壊し、文化施設を標的にした。これら全てジェノサイドと呼ばれる。たとえイスラエルが今戦争をやめても、こんな酷い生活状況ではパレスチナ人は死に続ける。イスラエルは人口全てを破壊する意図でやっている。イスラエルがガザでしていることはジェノサイドのお手本のような事例だ。
ヨーロッパではドイツを除いて、国際司法裁判所に従う国が増えるだろう。イスラエルに武器を提供することを拒否する国が増えるだろう。世界中がイスラエルがジェノサイドを犯していると知り、イスラエルは孤立するだろう。イスラエルとの関係を断つ国やアメリカでアカデミックなボイコットが起こることを期待している。(注9)

 この分析の中で、イスラエル軍が「避難命令」を出してガザ市民を避難させるのは、逃げる途中で、逃げた先で爆撃するためだと示唆されました。その実例が1月26日に「祖母は孫を連れて、白旗を掲げて逃げ、次の瞬間銃撃された」(注10)という見出しでCNNが報道しました。

 イスラエルの目的はガザ市民全員を追放することだという視点は、国連の「国内避難民担当人権特別報告者」も声明を出して指摘しています。

国連の国内避難民担当人権特別報告者は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区の民間人を追放しようと画策しているとする声明を発表した。10月7日以来、ガザ地区の人口の85%が国内避難民になったと指摘した。「論理的な結論として、イスラエル軍の作戦の狙いは、民間人の大多数を集団で国外追放することにある」とベタンクール氏は述べている。(注11)

アメリカからイスラエルへの武器移転は国際法違反、ジェノサイド共犯になる

 2024年1月27日の『アルジャジーラ』の記事は日本も国際法違反とジェノサイド共犯の可能性があることを思わせます。

 イスラエルの最強の支援国アメリカからイスラエルへの武器輸送が国際法違反となり、共犯になるからイスラエルに武器の移動を中止する呼びかけになる。バイデン政権は議会に軍事支援中心のイスラエル支援$14bnを要求した。政府は議会を通さずにイスラエルがガザを砲撃するための数千の砲弾を提供した。イスラエルの攻撃で26000人のパレスチナ人が死んだ。武器供給はアメリカ法と国際法違反だ。戦争犯罪に問われるので、今日の決定を深刻に受け止めるべきだ。

 人権グループは国連加盟国に武器供給を止めるよう、国際人道・人権法に違反することに使われることを注意している。カナダとイギリスもこの決定でプレシャーが高まっている。武器を犯罪目的だとわかっている国に提供したら、提供者も共犯になる(注12)

日本を戦争犯罪国にする岸田政権

 自民党岸田政権は2023年12月22日に大量殺人兵器パトリオットをアメリカに輸出する決定をしました。この大量殺人兵器はアメリカからウクライナに提供されてウクライナ戦争で使われる可能性が大きくなりました(注13)。2024年1月27日にロシア外務省の情報局長がこのパトリオットが「最終的にウクライナに至る可能性は排除できない」と指摘したことに対し、林芳正官房長官は「ウクライナで使用されることは想定していない」と言って、第三国への移転はないと説明していますが(注14)、それが嘘であることを欧米の報道は明確にしています。BBCは「日本はパトリオット・ミサイルをアメリカに送り、ウクライナを助ける」(2023/12/22,(注15))、『ワシントン・ポスト』が「ウクライナの防空武器が不足し、アメリカは日本に期待」(2023/12/19, (注16))という記事で解説し、それを引用してウクライナ・メディアが「ワシントン・ポスト:日本はパトリオット・ミサイルをアメリカに移転し、間接的にウクライナを支援すると考慮中」(2023/12/21,(注17))と報道しています。

 『ワシントン・ポスト』(注16)によると、すでに2023年8月に、キャンプデイヴィッドの米日韓の3者会談と、その後11月にサンフランシスコの経済サミットで、岸田首相はバイデン大統領から持ちかけられていたのです。「ソウルは去年ウクライナのために数万の火砲弾薬を提供することを密かに約束した。これはヨーロッパ諸国全部を合計したより多い」と報道されています。武器不足に直面しているウクライナに武器を提供する「軍事支援法案」をアメリカ上院が否決し、バイデン大統領は同盟国に頼り、「援助は今やヨーロッパの外の同盟国から来るかもしれない」と12月19日の記事で表現されています。この記事で強調されているのは、「日本はモスクワに対する西洋の制裁に参加した最初の東アジアの国」、「日本はまたイギリスとイタリアと共同で高機能の戦闘機を開発している」など、日本政府が「名誉白人」気取りで西洋と一緒に戦争をしたいという国に変貌したと皮肉っているようです。バイデン政権の高官は「岸田政権がしたことは真に過去との訣別だ」と述べたと報道され、日本は好戦国で、平和憲法など紙屑だとバイデン政権がみなしているという証言です。

 岸田政権による日本の変貌の衝撃は世界的に大きく、「日本の内閣が攻撃能力を加速させ、殺傷能力ある武器の輸出禁止を緩めるために、記録的軍事費を承認した」(『ワシントン・ポスト』2023/12/22, (注18))、「日本、戦後史と訣別し、パトリオット・ミサイルをアメリカに売る」(『ニューヨーク・タイムズ』2023/12/21, (注19))など、驚きの見出しで伝えています。

 ウクライナ戦争で日本産のパトリオット・ミサイルが使われるのは自明のことと欧米では受け止めていることがはっきりしましたが、イスラエルによるジェノサイドに対して使われるか調べてみました。イスラエルのガザ攻撃が始まって3週間後にアメリカの「国防総省は最強のミサイル防衛システム2種類を、中東に配備すると発表した。高高度のミサイル防衛システム「THAAD」一式と、「パトリオット」地対空ミサイルの複数追加だ」(注20)と報道されています。アメリカの国家安全保障問題専門のローフェア研究所のメディア掲載の記事「イスラエル-ハマス戦争におけるミサイル防衛」(注21)には以下のような解説があります。

 イスラエルの現在の戦闘の最も素晴らしい特徴はミサイル防衛テクノロジーの複数のレベルを統合され調整された方法で使用していることだ。アメリカの戦闘はイスラエルが10月7日以来証明した能力のスケールと一貫性には及ばない。イスラエルと周辺の領土の戦争の将来は不確かだが、ミサイル防衛はイスラエルとアメリカにとって中心的焦点であり続ける。

 イスラエルがガザでジェノサイドを行っており、そのためにイスラエルに武器を送る国は戦争犯罪の罪に問われるという点で、日本の戦争犯罪の可能性が岸田政権の決定によって出てきました。

ヨーロッパ諸国の反応

 この裁判の決定に対するヨーロッパの国々の反応について、中東メディア『アルジャジーラ』は「なぜベルギーはガザの『ジェノサイド』に関する国際司法裁判所の判定を支持すると誓うのか?」(注22)で以下のように述べています。

 ヨーロッパのリーダーたちはこの決定をどう解釈すべきかで分かれている。イスラエルの強固な同盟国であるドイツ、オーストリア、チェコ共和国はイスラエルのガザにおける行為が1948年の国連ジェノサイド条約に違反するという南アの主張を拒否した。ヨーロッパで最大のムスリムとユダヤ人の人口を持つフランスは、10月7日以降パレスチナ連帯のデモを禁止してきた。フランス政府は国際司法裁判所(ICJ)の決定を支持しないと述べた。

 その他の国々は沈黙を守っている。スロベニアは例外で、パレスチナ人の権利に関する決定を支持すると言った。イスラエルのパレスチナにおける軍事行動を批判してきたアイルランドは慎重なスタンスをとっている。スペインの連立政権のマイノリティ左派のサマー党は南アの裁判を支持している。ベルギーの開発協力・都市政策大臣は「もしICJがイスラエルにガザでの軍事作戦を止めるように言ったら、我が国は完全に支持する」と言った。

 10月7日以降のヨーロッパの見解はイスラエルが国際法を守る限り、自衛権があるというものだった。しかし紛争が激しくなり、パレスチナ人の死者数が増えるにつれ、ベルギーのリーダーたちはもっとオープンにイスラエルを批判するようになった。

 11月にベルギーの7政党の連立政権は500万ユーロを拠出して、国際刑事裁判所がイスラエルの戦争犯罪を調査する支援をした。このヨーロッパの小国は中東の紛争に関して伝統的に国際法に強い立場をとってきた。その背景には、ベルギーが歴史的に外国に侵略されてきた歴史がある。第一次、第二次世界大戦の間、ベルギーはドイツに占領されていた。ベルギーの今日のスタンスはイラク戦争のような外国政策について以前とっていた立場に似ている。「一般的にベルギーは武力による領土の獲得は受け入れられないという立場を守る」。

 ベルギーの左派労働者党でEU議員は政府の支持には制限があるが、他のEU諸国が取らなかったスタンスをベルギーの世論がとったことは称賛すべきだと言う。ベルギーの異なる都市で大規模なデモがあり、それが政府にプレッシャーを与え、停戦を呼びかけることになった。

 一方、ベルギーはEUの紅海ミッションに参加すると宣言した。イランと繋がりのあるフーシ派がガザ攻撃を止めるためにイスラエルと繋がっている船を攻撃していた。ベルギーは参加は望んでいないが、現在EU委員会の委員長をしているため、強力なイスラエル支持国の立場も考慮に入れねばならず、国際法に関して声を上げられない。

 歴史的にベルギーはイスラエルを支持すると同時にパレスチナに連帯を表明してきた。2012年の国連でパレスチナに「非加盟国オブザーバー」の地位を与えるよう投票している。去年はICJがイスラエルのパレスチナ領土の侵略を調査するよう命じる国連決議を支持した。しかし、ベルギー内の見解が北、南、ブリュッセル地区で異なるため、議会でイスラエル〜パレスチナ問題を議論するのは難しい。

紅海に軍艦を送れというアメリカの要請を拒絶したオーストラリア

 ベルギーが参加する「紅海ミッション」というのは、「イエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃が増加している紅海で、商船を護衛する多国籍部隊」です。「米軍主導の海洋安全保障の枠組み」として2023年12月18日に発表されました(注23)。「合同海上部隊」(Combined Maritime Forces: CMF, (注24))と呼ばれ、日本を含めた39カ国が参加しています。オーストラリア国営放送ABCによると、アメリカは全参加国に協力を要請したとされていますが(注25)、アメリカは日本に海上自衛隊を送れと要請したのでしょうか?

 オーストラリアに対するアメリカの要請はオーストラリア海軍の軍艦を紅海に送れというものでしたが、反体制派フーシが「パレスチナへの支持を示すためにこの地域を封鎖している」から、軍艦を送るべきかオーストラリア政府は検討し、送らない決定をしました。労働党のアルバニージー(Anthony Albanese: 1963-)首相は「オーストラリアが紅海の安全に貢献する方法は外交を通してだと言っ」て、軍艦の代わりに海軍士官4人をバーレインに送って、「中東と東アフリカの国際海運安全保障を支援する」そうです。この決定を中国政府の新聞が「オーストラリア政府の決定はオーストラリアが遂にアメリカの影から抜け出したことを意味する」と書いたとオーストラリアのメディアが付け足しています(注26)

ドイツ批判のアフリカ・ナミビア政府と、イスラエル批判のマレーシア政府

ナミビア大統領は1月13日に「ドイツが国際裁判所でイスラエル政府の無実のガザ市民に対するジェノサイドとパレスチナ領土を侵略する行為を支持する決断をした」とXで述べ、以下の声明を出しました。

ドイツが20世紀最初のジェノサイドをナミビアで1904-1908年に行い、無実のナミビア人数万人が残酷で非人道的な状態で死んだ。ガインゴブ(Hage Geingob: 1941-)大統領はドイツ政府に、イスラエルのジェノサイド的行為を擁護し、第三者として裁判に介入するという決断を再考するようアピールした。(注27)

 この記事によると、「ドイツの植民地軍は1904-1908年にナミビアの原住民へレロ(Herero)とナマ(Nama)の人々に対して残虐行為を行なった。集団処刑というドイツの作戦として行われ、20世紀最初のジェノサイドと言われている」とされています。ドイツはこの2年半前に「ナミビアで20世紀初頭に入植者らが犯した数万人の殺害について、自国によるジェノサイド(大量虐殺)だったと初めて認め、援助事業に11億ユーロ(約1470億円)規模の資金提供を行う方針を示し」ました。

 この裁判結果については、トルコ・イラン・カタール・インドネシア政府が判決を支持する声明を出しています(注28)。マレーシア政府は2023年12月にイスラエル船籍の船をマレーシアの港に停泊させず、イスラエルに向かう船をマレーシアの港での荷下ろしを認めない措置を出しました(注29)

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1 “A Grim Milestone: Journalist Death Toll Tops 53 as Israel Kills More Reporters in Gaza and Lebanon”, Democracy Now!, November 21, 2023
https://www.democracynow.org/2023/11/21/gaza_israel_committee_to_protect_journalists
2 “Israel’s War on Journalists: More Reporters Killed in Gaza in 3 Months Than Any Country Over Entire Year”, Democracy Now!, Jan. 17, 2024
https://www.democracynow.org/2024/1/17/gaza_journalists_killed
3 「イスラエルに対する『ジェノサイド』提訴、国際司法裁で審理始まる」BBC, 2024年1月12日
https://www.bbc.com/japanese/67954329
4 “Gaslighting and Cherry-Picking”: How Israel Is Defending Itself at World Court on Charges of Genocide”, Democracy Now!, Jan. 12, 2024
https://www.democracynow.org/2024/1/12/israel_defense_icj_genocide_case
5 「ガザめぐる『ジェノサイド』訴訟、南アとイスラエルの主張と今後の見通し」BBC, 2024年1月13日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67966883
6 「独、『ジェノサイド』訴訟のイスラエル擁護 ガザ侵攻は『自衛』」AFP, 2024年1月13日
https://www.afpbb.com/articles/-/3500069
7 「ネタニヤフ氏、ハマス掃討『誰にも止められない』ガザでの戦闘100日」AFP, 2024年1月14日
https://www.afpbb.com/articles/-/3500158?cx_part=topstory
8 「【声明】ガザ・国際司法裁判所の仮保全命令を受けて」HumanRightsNow, 2024/-1/29
https://hrn.or.jp/news/25183/
9 “International Court of Justice Orders Israel to Prevent Genocide in Gaza but Fails to Order Ceasefire”, Democracy Now!, Jan. 26, 2024
https://www.democracynow.org/2024/1/26/icj_provisional_ruling_israel_genocide_gaza
10 Clarissa Ward, et al., “She was fleeing with her grandson, who was holding a white flag. Then she was shot”, CNN, Jan. 26, 2024
https://edition.cnn.com/2024/01/26/middleeast/hala-khreis-white-flag-shooting-gaza-cmd-intl/index.html
11 「『イスラエルの狙いはガザ民間人の追放』国連特別報告者が非難」CNN, 2023.12.27
https://www.cnn.co.jp/world/35213281.html
12 Jillian Kestler-D’Amours “ICJ ruling in Gaza genocide case renews calls to end Israel arms transfer”, Al Jazeera, 27 Jan. 2024
https://www.aljazeera.com/news/2024/1/27/icj-ruling-in-gaza-genocide-case-renews-calls-to-end-israel-arms-transfers
13 「『殺傷能力ある武器』輸出解禁、自衛隊『パトリオット』を早速アメリカに 国会で議論ないまま『三原則』改定」『東京新聞』2023年12月22日 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/297687
14 「パトリオット輸出で日本に警告 ロシア」時事ドットコム、2023年12月27日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023122700900&g=int
15 “Japan to send Patriot missiles US which may aid Ukraine”, BBC, 22 December 2023
https://www.bbc.com/news/world-asia-67798740
16 Ellen Nakashima et al., “Running short of Ukraine air defenses, U.S. looks to Japan”, The Washington Post, Dec. 19, 2023
https://www.washingtonpost.com/national-security/2023/12/19/us-japan-patriot-missiles-ukraine/
17 “Washington Post: Japan to consider transfer of Patriot missiles to US, indirectly supporting Ukraine”, The Kyiv Independent, December 21, 2023
https://kyivindependent.com/japan-will-consider-transferring-patriot-missiles-to-support-ukraine/
18 Mari Yamaguchi (AP), “Japan Cabinet OKs record military budget to speed up strike capability, eases lethal arms export ban”, The Seattle Times, Dec. 22, 2023
https://www.seattletimes.com/nation-world/japans-cabinet-oks-record-56-billion-defense-budget-for-2024-to-accelerate-strike-capability/
19 Motoko Rich “Breaking With Postwar History, Japan to Sell Patriot Missiles to U.S.” The New York Times, Dec. 21. 2023
https://www.nytimes.com/2023/12/21/world/asia/japan-postwar-missile-defense-sales.html
20 「アメリカにはどこまでイスラエルを守る用意があるのか」BBC, 2023年10月25日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67202809
21 Zoe Kreitenberg “Missile Defense in the Israel-Hamas War”, Lawfare, Dec. 8, 2023
https://www.lawfaremedia.org/article/missile-defense-in-the-israel-hamas-war
22 Priyanka Shankar “Why has Belgium vowed to back the ICJ’s verdict on Gaza ‘genocide’?”, Al Jazeera, 23 Jan. 2024
https://www.aljazeera.com/news/2024/1/23/why-has-belgium-vowed-to-back-the-icjs-verdict-on-gaza-genocide
23 「米、商船護衛で多国籍部隊 フーシ派攻撃増加受け発足」共同通信、2023年12月19日
https://www.47news.jp/10282581.html
24 Combined Maritime Forces (CMF)
https://combinedmaritimeforces.com
25 Matthew Doran “Australia to send small personnel deployment but no warship to Red Sea”, ABC, December 21, 2023
https://www.abc.net.au/news/2023-12-21/australia-small-personnel-deployment-no-warship-red-sea/103254358
26 Kat Wong and Tess Ikonomou “Australia rejects US appeal for warships in Red Sea”, Australian Associated Press, December 21, 2023
https://www.aap.com.au/news/australia-rejects-us-appeal-for-warships-in-red-sea/
27 “Namibia condemns Germany for defending Israel in ICJ genocide case”, Al Jazeera, 14 Jan. 2024
https://www.aljazeera.com/news/2024/1/14/namibia-condemns-germany-for-defending-israel-in-icj-genocide-case
28 「ドイツ、植民地ナミビアでの『ジェノサイド』初めて認める」AFP, 2021年5月28日
https://www.afpbb.com/articles/-/3349011
29
注29:「ICJ の判断、グローバルサウスの主要国など歓迎 深まる欧米との溝」『朝日新聞DIGITAL』2024年1月28日 
https://digital.asahi.com/articles/ASS1W7H27S1WUHBI00X.html