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2018-07-16

英米に伝えられた攘夷の日本(4-10)追記1

軍事力をちらつかせて日本に開国を迫る欧米列強に苦慮する幕府役人たちと真逆の動きをしているのが21世紀の安倍政権です。私たちの命を脅かす政策について見ます。

過労死促進法案の強行採決

倍政権は「1-4追記」と「4-4」で挙げた項目を着々と進めています。4-4では「裁量労働制 今国会断念」というニュースを紹介しましたが、安倍政権は「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」という名称で、2018年6月29に参院本会議で強行採決しました。労働基準監督官さえ過労死増加を懸念する過労死促進法です(注1)。過労死遺族が心配そうに傍聴する真下で、安倍首相と加藤勝信厚労相が高笑いしている写真が彼らの本質を表しています(注2)

 日本の労働者全体に大きな影響を及ぼすこの法案成立について、地方紙を含めて社説でどう述べているか興味があり、ウェッブ版社説を掲載しているものを拾い出してみました。どの新聞が安倍政権の広報紙かはよく知られていますが、社説の比較でそれが見事に表されていたことに感心すると同時に、地方紙が庶民の目線で権力批判を行うというジャーナリズムのあるべき姿を示していることに安堵しました。社説の見出しで、各紙の姿勢が見えてきます(注3)

「働き方改革法成立 労働者置き去りの悪法だ」(琉球新報)
「働き方改革法成立 過労死防止の決意どこへ」(北海道新聞)
「働き方改革法成立/政権の問題体質が集約された」(神戸新聞)
「『高プロ』導入 疑問と不安残したまま」(岩手日報)
「働き方法成立 疑問も不安も消えない」(沖縄タイムス)
「働き方法成立 議論は尽くされたのか」(京都新聞)
「働き方法案 丁寧な再議論をすべきだ」(高知新聞)
「働き方改革法が成立/議論の積み重ね なお必要」(河北新報)
「命と健康を守れるのか/働き方改革法成立」(東奥日報)
「働き方改革関連法成立 命を守る運用欠かせぬ」(中国新聞)
「働き方改革法成立/命と健康を守る運用を」(山陰中央新報)
「働き方改革法成立 労働者側に立った運用を」(熊本日日新聞)
「働き方改革法 働く人が納得する制度に」(西日本新聞)
「働き方改革法 高プロ導入に疑問拭えぬ」(新潟日報)
「働き方法成立 懸念と課題が山積みだ」(朝日新聞)
「ごり押し『働き方』法案 額に汗して働けない」(中日・東京新聞)
「『働き方改革』法が成立 健康と生活を守るために」(毎日新聞)

 これらの社説の多くが経団連・経済界の強い要望が背後にあったことを指摘しています。安倍政権と経団連を支持する姿勢は以下の見出しに窺えます(注5)

「『個の力』引き出す労働改革をさらに前へ」(日本経済新聞)[有料記事なので前半しか読めませんが、最初に「日本の生産性や成長力を高める改革の前進を歓迎したい」と謳っています]
「働き方改革法 多様な人材の活躍促す契機に」(読売新聞)
「働き方改革法 残業代削減の還元考えよ」(産経新聞)

 経団連は早速、過労死促進法の第2弾目として「裁量労働制拡大」を再提出せよと安倍政権に注文をつけました(注4)。経団連とともに過労死促進法を推進してきたと言われる竹中平蔵氏(人材派遣会社パソナ会長)は「小泉構造改革によって非正規社員切りを横行させ、ワーキングプアを生み出し、現在の格差社会をつくり上げた張本人」と評されています。その竹中氏が「高プロ」の適用対象を拡大させるべきだと述べているのも、この法の本質を物語っています(注6)。わずか6ヶ月前に「日本の賃金、世界に見劣り」という記事を『日本経済新聞』(注7)が出したばかりなのに、「世界に見劣り」する給料で残業代を払わずに死ぬまで働かせるのが安倍政権・経団連・竹中平蔵氏等の狙いでしょうか。

 低賃金の不安定な「非正規雇用」が労働力に占める割合が2016年に37.5%と過去最高になり、特に35〜44歳、55〜64歳世代で正規から非正規に置き換えられる率が顕著です(注8)。この非正規雇用の急増によって、「ミッシングワーカー」と呼ばれる隠れた失業者が103万人もいると推測されています(注9)。40代・50代の失業者数72万人に入らない、統計から抜け落ちている「ミッシングワーカー」は、非正規による転職を繰り返したり、親の介護で労働市場から排除された状態になった層だといいます。

 一方、非正規社員が無期雇用へ転換を求めることができる「無期転換ルール」が2018年4月から適用されましたが、その対象者400万人のうち、企業から4月前に契約を打ち切られる例が増加しているそうです(注10)。「雇い止め」をする企業には罰則が科されない制度なので、逆に失業者を増やす制度になりかねず、安倍政権には労働者を守る本気度は見られません。このルールによる弊害は教育機関にまで及び、国立大学にいる約10万人の有期雇用者の「雇い止め」が始まって、研究活動を支えてきたこれらの人々が失職させられることが「日本の科学力低下の一因」だと指摘されています(注11)

 過労死促進法の強行採決の1月ほど前(2018年6月5日)に安倍首相は「外国人労働者の受け入れ拡大を表明」しました(注12)。これにも竹中平蔵氏がかかわっています。自社のパソナグループが利益を得られるように、国家諮問会議の有識者委員として、外国人就労の拡大を主張し、その人材受け入れ事業をパソナが担うことに決定しました(注13)。ところが、過労死促進法導入前にすでに日本の「働く国としての魅力は61カ国中52位」(注14)だそうです。日本の労働者たちが幸せに健康的に働ける条件と環境作りをするのが最優先なのに、安倍政権は日本国民市民の疲弊と国力低下を推し進めています。

 このような悪法を続けられる理由について、麻生太郎財務大臣の次の発言が参考になります。自民党支持層は10〜30代で高く、この世代は「一番新聞を読まない世代だ。新聞読まない人は、全部自民党なんだ」(注15)と公言したのは、日本の若い層をバカにしていますし、無知が自民党を強くしているという認識の表明です。

ギャンブル依存症と多重債務者増加法案

 「統合型リゾート(IR)実施法案」、いわゆるカジノ法案も危険です。外国人観光客対象で、投資や雇用の経済効果があると謳っていましたが(注16)、実際は日本人対象で、しかも、カジノ事業者が客に賭博資金を貸し付ける「特定資金貸付業務」が盛り込まれ、ギャンブル依存症者数の増加と多重債務者増加が懸念されます(注17)。そもそも「ギャンブル依存症対策基本法」(2018年7月6日成立)を作らなければいけないということが、依存症が増える悪法だと証明しています。「国勢調査データから推計すると約320万人」がすでに依存症が疑われるというので(注18)、さらに増やそうというのでしょう。

 安倍政権が呼び込もうとしているカジノ事業者がトランプ大統領と関係の深いアメリカ企業であることも、トランプ大統領との首脳会談で明らかにされました(注19)。それが「ラスベガス・サンズ」というカジノ企業で、マカオやシンガポールのカジノの大半の利益を会長一族の懐に入れるような企業だと国会で追求されましたが、安倍首相お得意のはぐらかしで、強行採決しようとしています(注20)。江戸幕府が賭博を重大犯罪としていたこと、江戸時代の日本人胴元が詐欺的手法で金儲けをしたのに対し(注21)、安倍政権は賭博を合法とし、日本国民市民を外国企業の餌食にさせることが狙いのようです。これにも竹中平蔵氏が旗振り役であることを「カジノIRジャパン」が竹中氏の「観光立国を目指すなら統合型リゾートの整備は避けて通れない」(2017年1月6日、(注22))を掲載して教えてくれています。

 西日本豪雨被害が拡大する中で強行採決を狙う安倍政権は2018年7月10日に国会でカジノ法案審議を強行し、そこで明らかにされたのが、やはりアメリカからの要求で「特定資金貸付業務」などを導入・合法化する安倍政権の姿でした。参議院内閣委員会で杉尾秀哉議員(立憲民主党)がアメリカのカジノ産業が日本はラスト・フロンティアだと言い、個人資産1800億、パチンコ産業の20兆円があるから、アメリカのカジノ産業がこれらの日本マネーを狙っているのは明らかだと指摘しました(注23)。それに対して、政府のIR推進本部事務局・中川真次長は、「日本は1億3000万の所得水準の高い、消費余力のある消費者を抱えるマーケットです。IRの有望なマーケットだとみられても違和感はない」と認めました。杉尾議員が指摘したのは、在日米国商工会議所意見書にアメリカのカジノ産業3社が入っていて、カジノ産業でアメリカが求めているのは、IRにおける顧客への金融サービスを認めること、日本でカジノ・ビジネスが成功するために不可欠と書いてあることで、利用者がはまるための仕組みではないかという点でした。杉尾議員の指摘を聞くまで知りませんでしたから、「在日米国商工会議所」でネット検索して、すでに2014年時点でカジノ合法化を早くしろと米国商工会議所が安倍政権に要求していたことを知り(注24)、安倍政権がアメリカ企業の意のままに動いていること、西日本豪雨災害を利用して強行採決しようとしていることを知りました。

西日本豪雨の被害が拡大する中でカジノ審議をし、参院議員定数増を強行採決する国会

 国民市民の生命と財産を切り捨てる安倍政権の姿勢は、平成最悪の被害と称される西日本豪雨災害の死者数・行方不明者数が2018年7月9日時点で200人を超していたのに(注25)、カジノ法案の審議を強行し、参議院の議員定数増を審議不十分のまま強行採決した(注26)ことなどに現れています。野党は被害対応を優先すべき、審議を見送るべきだと申し入れましたが、与党が押し切りました(注27)

 7月10日に強行された参議院内閣委員会で、土砂災害に対応すべき石井国交相が賭博解禁審議に丸一日費やしました。野党議員から災害対応すべきではないのかと問われ、国会が決めたことだからという回答に対し、山本太郎議員(自由党)は国会は官邸にコントロールされていると指摘しました。山本議員はカジノ法案がテーマの質問時間を西日本豪雨被害対応に費やし、政府に具体的な要望を出しました。山本議員の論点を以下に整理します(注28)

安倍政権の災害対応の遅さ

1.気象庁と消防庁の警告

  • 7月5日14時: 気象庁が異例の記者会見で、西日本と東日本で5日から8日にかけて記録的大雨になると警告。
  • 7月5日8時: 消防庁プレスリリースで避難勧告の対象人数発表:2万7520人から7月5日12時時点で京都・大阪・兵庫などで、16万8713人に増えた。

2.安倍首相自民党の対応

  • 7月5日午後8時28分〜午後9時19分: 衆議院赤坂宿舎「自民亭」で酒盛り:片山さつき自民党議員のツイッター「楽しい」、西村康稔官房副長官(兵庫)のツイート「和気あいあい、まさに自由民主党」、安倍首相が記者団に対して「和気あいあいでよかった」。

3.気象庁の警告

  • 7月6日10:30:気象庁記者会見「重大な災害が発生する可能性が著しく高くなり、大雨特別警報を発令する可能性がある」と警告。

4.安倍首相自民党の対応

  • 7月6日夜:安倍首相は規制改革グループと会食。[規制改革推進会議の大田弘子議長、金丸恭文議長代理らと食事。梶山規制改革担当相同席](注29)

5.気象庁の警告

  • 7月6日17:10:気象庁、福岡・長崎・佐賀県に大雨特別警報を発表。
  • 19:39:岡山県、1940:広島県、鳥取県に大雨特別警報を発表。
  • 22:50:京都府、兵庫県に大雨特別警報を発表。

6.安倍政権の対応

  • 7月8日午前に「非常災害対策本部」設置し、安倍首相は「先手先手で被災者の支援に当たってほしい」(注30)と述べた。

安倍政権の災害対応はなぜ後手後手になったのか

 気象庁の度重なる警告を無視して3日間災害対応しなかったのに、「非常災害対策本部」設置時に首相が「先手先手で」支援すると言ったのは「後手後手」じゃないかと山本議員は批判し、過去の災害対応と比べて、あまりにも遅いと指摘します。例えば、熊本地震の震災発生(2016年4月14日21時26分)から災害対策本部立ち上げまで約1時間だったこと;九州北部豪雨(2017年7月5,6日)では、7月3日に災害を予想して、関係省庁災害警戒会議を開催し、政府一体となった警戒態勢を確保し、防災担当大臣から国民に対して、自らの身を守るため積極的な安全確保を呼びかけたと指摘しました。

 ではなぜ今回は災害対策本部設置が甚大な被害が出てから3日後なのか、山本議員ははっきりとは指摘しませんでしたが、安倍首相が最後まで海外旅行(大した外交理由がないので、海外旅行)に行きたかったから設置しなかったのではないかと示唆しました。これは豪雨当初からSNSで批判されていました。7月9日午後に外遊中止を発表しましたが、「官邸は最後まで実現模索」したそうです(注31)

 次に西日本豪雨災害の規模についてデータを示し、支援方法の具体的な提言をしました。

西日本豪雨被害の規模について

  • 災害支援NPO団体の間では、今回の災害は広範囲で被害戸数の点では、東日本大震災に匹敵すると言われているが、安倍政権は甘い認識。
  • 日本財団の緊急記者会見(7月9日):これまでの災害支援の経験により、延べ50万人のボランティアの出動が必要になると試算している。1年前の九州北部豪雨災害に参加したボランティアの数は赤い羽根共同募金や全国社会福祉協議会などによると、約6万人。今回は8倍必要になるほどの大災害。気象庁が警鐘を鳴らしていたのに官邸は対応せず、賭博解禁法案の審議をする。カジノ法案の審議が遅れて人が死ぬか、生活に困るか? 困るの利害関係者だけだ。
    [7月12日も丸1日賭博解禁法案の審議をし、7月5日の「自民亭」飲み会に出席した西村官房副長官がアメリカのカジノ関係企業からパーティー券を購入してもらったと認めたことと、カジノの国内客・地域住民が「実質6日間連続で入れる仕組み」だと指摘されたことなど、アメリカ企業と安倍政権の癒着が明らかにされました(注32)]
  • 九州北部豪雨では5市町村が災害救助法適用、西日本豪雨では現時点で98市町村で20倍。

支援の具体的提案

  1. 現地に入っているNPO団体の要望は、水害は2週間が勝負、ボランティアに来てもらうためには手続きの簡素化が必要:災害派遣等従事車両の証明書の発行の簡素化をしてほしい。真っ先に現地に飛んで行きたいのに証明書を取るのが難しい現状。災害ボランティア証明書を被災地の自治体から手に入れなければならない。現場自治体は忙しい。ボランティアの地元自治体に出向いて手続きしなければならない。国交大臣に定例閣議やその後の閣議懇談会で話してほしい。
    石井啓一国土交通大臣:直接の所掌ではないが、重要な指摘なので、金曜の定例閣議懇談会を待たずになるべく早く伝える。
  2. 自衛隊の車両、重機を災害仕様のものに揃えてほしい。災害が多い国で被災地に入るには小さな車両・重機が必要。防衛省に予算を要求してもらえないか。先日の大阪地震の時も茨木市、高槻市に自衛隊の大きな車両が入った際に、大きな駐車場を探すのに市の職員が苦労したので、小さな装備が必要だと思う。
    福田達夫防衛大臣政務官:自衛隊は一義的には国防という立場で仕事をする。自然災害で準備するほど潤沢な予算をもらっているわけではないが、前向きに取り組んでいく。
  3. これだけ自然災害が多い国だから国防と並んで災害・復旧支援が重要。救命という点で見える支援活動では自衛隊に対するリスペクトが生まれる。今朝(7月10日)の段階で29,500人の自衛隊が入っている。自衛隊全体の12%の人数。もう少しお力を貸していただきた。
    救助が落ち着いた時に、被災民有地の家の泥かきに力を貸せるよう検討してもらいたい。土砂災害、水害の場合、床下の泥をかき、乾燥させ、消毒しないと、そこからカビが生えて健康被害が広がる危険性が高い。
    福田防衛大臣政務官:隊員自身が被災者であり、家族を亡くしている場合も多いので、何が必要かよくわかっている。まず今は救助。避難所にいる人々の支援。知事からの応援要請に基づいて動いている。現場の支援団体から県に要望し、そこから自衛隊に要望が届くようにしてほしい。

7人同時死刑執行前夜の安倍政権自民党飲み会

 西日本豪雨災害の状況が明らかになりつつあった7月6日に、地下鉄サリン事件の死刑囚7人の死刑執行という衝撃的なニュースが報道されました。その日のうちにドイツ連邦政府と欧州連合などが声明を発表し、地下鉄サリン事件の犯罪が重いとした上で、「死刑を非人道的かつ残酷な刑罰として否定するというドイツ政府の原則的立場は変わらない。従って、ドイツは今後もEU各国とともに、世界における死刑制度廃止に向け積極的に取組んでいく」と述べました(注33)。欧州連合加盟国の駐日大使およびアイスランド、ノルウェー、スイス駐日大使は共同声明で、「死刑は残忍で冷酷であり、犯罪抑止効果がない。さらに、どの司法制度でも避けられない、過誤は極刑の場合は不可逆である」(注34)と指摘しています。

 この「過誤」の疑いについて、国連が再審請求中の執行は問題だと警告を発していました(2018年3月28日、(注35))。処刑された井上嘉浩死刑囚が再審請求をした2018年3月14日に、井上死刑囚を含め7人が他の拘置所に移送されました(注36)。7月6日に死刑執行された7人中6人が再審請求中でした(注37)。特に井上死刑囚の再審請求は東京高裁を動かし、弁護士と高裁の間で進行協議の2回目が7月3日に行われ、検察に証拠を提出させることが決まっていたそうです。新証言によって真実が明らかにされ、井上死刑囚が死刑になるべきではない罪状だと明らかにされることを恐れて、3日後に7人同時の執行にしたのではないかというのです(注38)

 庶民が死刑執行のニュースを知ったのは6日朝のテレビ各局ワイドショーですが、「通常、法務省は刑を執行した日に発表し、マスコミはこれを受けて報道するもの」なのに、今回は官邸がリークしたのか、執行時間に執行された者の名前を順番に発表したそうです(注39)。そして、安倍首相と上川陽子法務相が7人同時処刑の前夜に「自民亭」の飲み会で親指を突き立てて笑っている写真がSNSで拡散されました。これは片山さつき議員と西村康稔官房副長官がツイッターで「楽しい」「和気あいあい」などとコメントして写真を掲載したからです。

 この会合について多くの新聞が共同通信の「首相『赤坂自民亭』に初参加 自民総裁選意識か」(7月5日22:58)を掲載しましたし、『日本経済新聞』や『産経新聞』ウェブ版などは独自の記事を1時間ほど遅れて掲載しました。その中で異色だったのは、ロシア・メディア『スプートニク』(7月5日23:47)が共同通信の記事とともに、片山さつき議員のツイッター(7月5日22:58)に掲載されている写真とコメントをそのまま掲載したことです(注40)。いずれも7月5日の報道なので、翌日の7人同時死刑執行とは結び付けられていませんが、死刑執行のニュースが報道されてから、SNSでこの写真が拡散されました。それは死刑執行を命じた安倍首相と上川法相が執行前夜に並んで親指を突き立てて笑っている姿の異様さ、おぞましさでした。

 その後メディアはこの会合について、安倍政権の豪雨災害の対応が遅いという批判材料として取り上げましたし、BBCも7月11日に片山さつき議員の当該ツイッター全部を掲載して、SNS上の批判コメントを翻訳して報道しました(注41)。豪雨災害について、安倍政権よりも海外メディアの方が深刻に受け止めたようで、『ニューヨーク・タイムズ』は7月6日時点で、気象庁が異例の警告を出したと報じました(注42)。安倍政権自民党が豪雨災害について未だに深刻に受け止めていないのは、土砂崩れで道路が寸断された西日本の災害について陣頭指揮に当たるべき石井国交大臣をカジノ法案で何日も国会に縛り付けておくことで明らかです。

 「赤坂自民亭」の安倍首相と女将役の上川陽子法相(死刑執行担当大臣)の親指突き立て写真に関する限り、再審請求中の死刑囚を集団処刑することを祝う意味合いと受け取られます。なぜ高学歴の若者たちが地下鉄サリン事件を起こすに至ったのか、政府と社会がどうすればテロを防げるのか、オウム事件を風化させないためにも、長い年月かけて解明すべきだったと思います。

 西日本豪雨災害に関しては、最初テレビ報道がいやに少ない、官邸から報道するなと圧力がかかっているのかと思いましたが、『ニューズウィーク』に「西日本豪雨の腰の引けた災害報道は、見直す時ではないか」(注43)という記事が出て、同じ思いの人が多かったとわかりました。また、野党がカジノ法案審議をせずに、災害対応に専念すべきだと申し入れたことを、野党が政治の駆け引きに災害対応を使っているというニュアンスの報道(注31)があることにも違和感を感じました。山本太郎議員の審議内容を見る限り、災害対応は最初の2週間が勝負だという指摘で、具体的な提案をして、政府がすぐに対応しなければ被害が拡大するという危機感からです。

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1. 贄川俊「労基署ベテラン監督官すら高プロ懸念『手出しできない』」『朝日新聞DIGITAL』2018年6月15日
https://digital.asahi.com/articles/ASL6G5K73L6GULFA01W.html?iref=comtop_8_04
2. 「『働かせ放題』は財界要求 安倍首相 国民の命と生活犠牲に」『しんぶん赤旗』2018年6月27日
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-27/2018062701_04_1.html
3. 「<社説>働き方改革法成立 労働者置き去りの悪法だ」『琉球新報』2018年7月1日
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-750099.html

社説「働き方改革法成立 過労死防止の決意どこへ」『北海道新聞』2018/06/30
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/204366?rct=c_editorial

「社説 働き方改革法成立/政権の問題体質が集約された」『神戸新聞』2018/06/30
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201806/0011401118.shtml

「(論説)『高プロ』導入 疑問と不安残したまま」『岩手日報』2018.06.30
https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/6/30/17432

「社説[『働き方』法成立] 疑問も不安も消えない」『沖縄タイムス』2018年6月30日
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/275522

「社説 働き方法成立 議論は尽くされたのか」『京都新聞』2018年06月30日
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20180630_4.html

社説「【働き方法案】丁寧な再議論をすべきだ」『高知新聞』2018.06.29
https://www.kochinews.co.jp/article/195234/

社説「働き方改革法が成立/議論の積み重ね なお必要」『河北新報』2018年06月30日
https://www.kahoku.co.jp/editorial/20180630_01.html

時論「命と健康を守れるのか/働き方改革法成立」『東奥日報』2018年6月30日
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/47416

社説「働き方改革関連法案成立 命を守る運用欠かせぬ」『中国新聞』2018/7/3
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=444910&comment_sub_id=0&category_id=142

論説「働き方改革法成立/命と健康を守る運用を」『山陰中央新報』2018年7月1日
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1530410286954/index.html

社説「働き方改革法成立 労働者側に立った運用を」『熊本日日新聞』2018年6月30日
https://kumanichi.com/column/syasetsu/536885/

社説「働き方改革法 働く人が納得する制度に」『西日本新聞』2018/06/30
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/428819/

「社説 働き方改革法 高プロ導入に疑問拭えぬ」『新潟日報』2018/07/01
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20180701403437.html

「(社説)働き方法成立 懸念と課題が山積みだ」『朝日新聞DIGITAL』2018年6月30日
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13563398.html?iref=pc_ss_date

社説「額に汗して働けない ごり押し『働き方』法案」『中日新聞』2018年6月29日
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2018062902000122.html
元記事削除のため保管した記事を表示

「【社説】ごり押し『働き方』法案 額に汗して働けない」『東京新聞TOKYO Web』2018年6月29日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018062902000173.html
元記事削除のため保管した記事を表示

「社説 『働き方改革』法が成立 健康と生活を守るために」『毎日新聞』2018年6月30日
https://mainichi.jp/articles/20180630/ddm/005/070/152000c

4. 岡本智、松浦祐子「経団連、早くも『次』の規制緩和に期待 働き方改革」『朝日新聞DIGITAL』2018年6月30日
https://digital.asahi.com/articles/ASL6Y7SR1L6YULFA015.html
5. 社説「『個の力』引き出す労働改革をさらに前へ」『日本経済新聞』2018/6/30
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32456640Z20C18A6EA1000/

「社説 働き方改革法 多様な人材の活躍促す契機に」『YOMIURI ONLINE』2018年06月30日
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20180629-OYT1T50181.html

「【主張】働き方改革法 残業代削減の還元考えよ」『産経ニュース』2018.6.30
https://www.sankei.com/column/news/180630/clm1806300002-n1.html

6. 「”高プロの旗振り役”竹中平蔵がグロテスクな本音全開!『残業代は補助金』『高プロ対象はもっと拡大しないと』」『リテラ』2018.06.22
http://lite-ra.com/2018/06/post-4082.html
7. これは有料記事なので、個人ブログで記事の写真掲載しているものを参照してください。
「日本だけ給料下がる 日本の賃金、世界に見劣り」、いしはま通信、2018/1/22
https://blogs.yahoo.co.jp/higashiura05/50069383.html
8. 「非正規雇用37.5% 最高に 昨年 目立つ働き盛りの置き換え」『しんぶん赤旗』2017年2月2日
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-02/2017020201_02_1.html
9. 「ミッシングワーカー 働くことをあきらめて・・・」NHKスペシャル、2018年6月2日放映
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180602
10. 「雇用『5年で無期転換ルール』始まる 更新に上限設け適用逃れも」SankeiBiz, 2018.4.3
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/180403/ecd1804030500003-n1.htm
11. 嘉幡久敬「研究支援者、止まらぬ雇い止め『日本の科学力低下の一因』として肝」『朝日新聞DIGITAL』2018年7月12日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S13581314.html
12. 「外国人就労拡大、首相が表明 建設・農業・介護など」『日本経済新聞』2018/6/5
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31413180V00C18A6MM8000/
13. 小倉正行「竹中平蔵氏が国家諮問会議で要求の施策、竹中会長のパソナが認定機関として事業展開」『ビジネスジャーナル』2018.03.17
http://biz-journal.jp/2018/03/post_22680.html
14. 寺田知太「なぜ日本には外国人労働者が殺到しないのか——日本の『働く国としての魅力』は61カ国中52位」、『東洋経済オンライン』2017年04月17日
https://toyokeizai.net/articles/-/166473
15. 「麻生氏『10〜30代、新聞読まない世代は全部自民党』」『朝日新聞DIGITAL』2018年6月24日
https://digital.asahi.com/articles/ASL6S63R9L6SUTFK00D.html
16. 浜中慎哉「カジノ法案 首相、経済効果強調 野党『依存症増える』」『毎日新聞』2018年6月1日
https://mainichi.jp/articles/20180602/k00/00m/010/171000c
17. 小寺陽一郎「カジノの客、日本人ばかり? 試算バラバラ、見えぬ効果」『朝日新聞DIGITAL』2018年6月5日
https://digital.asahi.com/articles/ASL5T3PPRL5TUTIL00W.html

「カジノ法案 懸念置き捨てまた強行」『信濃毎日新聞web』2018年6月20日
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180620/KT180619ETI090008000.php
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「カジノ法案 賭博貸し金は公序良俗違反 議連と法務省(11年)違法性めぐり調整」『しんぶん赤旗』2018年6月14日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-14/2018061414_01_1.html

18. 浜中慎哉「参院 カジノ法案 政府・野党かみ合わず 入場料日本安い/対策尽くされた すでに観光客増/評価ありがとう」『毎日新聞』2018年7月7日
https://mainichi.jp/articles/20180707/ddm/005/010/161000c
19. 「安倍首相『カジノ法案』強行の背景にトランプの意向! 日米首脳会談に米カジノ企業トップ3人が同席」『リテラ』2018.06.15
http://lite-ra.com/2018/06/post-4070.html
20. 横田一「米国第一の”売国的”対応追求」、『週刊金曜日』1191号、2018.7.6, p.4.
21. 「田中優子の江戸から見ると 賭博」『毎日新聞』2016年4月20日
https://mainichi.jp/articles/20160420/dde/012/070/013000c
22. 「『観光立国を目指すなら統合型リゾートの整備は避けて通れない』=竹中平蔵氏(日経BP)」カジノIRジャパン、2017-01-06
http://casino-ir-japan.com/?p=15784
23. 第25回参議院内閣委員会「特定複合観光施設区域整備法案(閣法第64号)、2018年7月10日、インターネット審議中継、杉尾議員の該当質疑部分は4時間18分50秒目〜4時間19分30秒目。
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
[参議院インターネット中継のページから審議中継カレンダーの7月10日をクリックすると視聴可能です]

「豪雨被害 平成最悪 死者126人 不明86人」『東京新聞』2018年7月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018071090070912.html

24. 「カジノ合法化『早く』 露骨な介入の意見書 在日米国商工会議所が発表」『しんぶん赤旗』2014年12月21日 
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-21/2014122113_01_1.html
25. 「死者126人、不明79人 平成最悪の被害、西日本豪雨」『朝日新聞DIGITAL』2018年7月9日
https://digital.asahi.com/articles/ASL79662YL79PTIL04V.html
26. 「参院6増、特別委で採決強行 参院本会議でも可決へ」『朝日新聞DIGITAL』2018年7月11日
https://digital.asahi.com/articles/ASL7C3CV1L7CUTFK006.html?iref=comtop_list_pol_n01
27. 「カジノ法案審議、10日に強行 委員長職権で、野党は反発」『47NEWS』(KYODO)2018/7/9
https://this.kiji.is/388998597406049377?c=39546741839462401
28. インターネット審議中継の詳細は注22に同じ。自由党共同代表・山本太郎議員(希望の会派を代表して質問)の質問部分は5時間37分目〜6時間14分目。
29. 「首相動静 [2018年7月]6日」『朝日新聞DIGITAL』2018年7月7日
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13574491.html?iref=pc_ss_date
30. 高橋克哉、古川宗「豪雨 政府が非常対策本部を設置 首相『先手で支援を』」『毎日新聞』2018年7月8日
https://mainichi.jp/articles/20180708/k00/00e/040/162000c
31. 岡本智、山岸一生「批判を懸念、異例の外遊中止 官邸は最後まで実現模索」『朝日新聞DIGITAL』2018年7月9日
https://digital.asahi.com/articles/ASL7955X9L79UTFK00S.html
32. 大久保貴裕「依存症対策なのに科学的根拠なし カジノ入場の制限回数」『朝日新聞DIGITAL』2018年7月12日
https://digital.asahi.com/articles/ASL7D5KCHL7DULFA01W.html?iref=comtop_8_07
33. 「日本における死刑執行について」ドイツ外務省、2018年7月6日
https://japan.diplo.de/ja-ja/themen/politik/-/2116044
34. 「日本で死刑が執行されたことを受けた、現地共同声明」駐日欧州連合代表部、2018年7月6日
https://eeas.europa.eu/delegations/japan_ja/48047/日本で死刑が執行されたことを受けた、現地共同声明
35. 「国連、再審請求中の執行は問題 オウム死刑囚13人で」(ジュネーブ共同)『西日本新聞』2018年3月28日 https://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/404213/
36. 「【オウム死刑囚】井上嘉浩死刑囚が再審請求 『事実は違う』と主張」『産経ニュース』2018.3.14
https://www.sankei.com/affairs/news/180314/afr1803140053-n1.html

「地下鉄サリン23年 執行準備か分離目的か オウム死刑囚移送に広がる観測」『産経ニュース』2018.3.20
https://www.sankei.com/affairs/news/180320/afr1803200001-n1.html

37. 「松本死刑囚ら7人刑執行 オウム、地下鉄サリンなど」『中国新聞』2018/7/7
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38. 門田隆将「オウム死刑囚『7人執行』で法務省は『何を隠した』のか」『BLOGOS』2018年07月06日
http://blogos.com/article/309390/?p=1
39. 「まるで公開処刑! オウム大量死刑執行を“実況中継”したマスコミの狂気!死刑執行に世界からは非難の声」『リテラ』2018.07.08
http://lite-ra.com/2018/07/post-4112.html
40. 「首相『赤坂自民亭』に初参加 自民総裁選意識か【写真】」『スプートニク日本』、2018年7月5日
https://jp.sputniknews.com/japan/201807055082012/
41. ”Japan flood: at least 179 dead after worst weather in decades”, BBC, July 11, 2018.
https://www.bbc.com/news/world-asia-44790193
42. “At Least 3 Dead, Several Missing in Japan Heavy Rain, Floods”, (The Associated Press), The New York Times, July 6, 2018
https://www.nytimes.com/aponline/2018/07/06/world/asia/ap-as-japan-heavy-rain-.html
43. 冷泉彰彦「西日本豪雨の腰の引けた災害報道は、見直す時ではないか」Newsweek, 2018年7月10日
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2018/07/post-1013.php